【感想】SF小説 その⑦

SFマインドを維持するのは難しい。 金星応答なし(スタニスワフ・レム) 最近レム人気が高まっていると勝手に思っているのですが、合ってますか?まあ、それとは関係なしに随分前から積んでいた本になります。500ページ近くあるのですが、訳が上手いのですら…

【感想】灯台へ

灯台へ (岩波文庫) 作者:ヴァージニア ウルフ 岩波書店 Amazon すでに世界文学として評価されている作品に対して、あれこれと批評じみたことを書くことに意味があるとは思えないが、自分が受けた印象が作品の真髄に触れているのか、それとも表面をさらってい…

【感想】影をなくした男

影をなくした男 (岩波文庫) 作者:シャミッソー 岩波書店 Amazon 19世紀あたりに書かれた古典。お金に困った男が、悪魔(っぽいもの)と契約して、大量の金銭と引き換えに自分の影を渡してしまい、苦難の人生を歩むという物語である。 このような寓意的な作品…

散歩と冒険

近頃よく長距離散歩をしていて、とりあえず方角だけ決めて大体二時間ほど、どこかの駅に着くまで歩くなどしている。休日に時間が有り余るために始めたことだが、次第に趣味として定着しつつある。周りは山ばかりなので、二時間歩くとなると、坂を登ったり下…

【まとめ】永遠の歴史(J.L.ボルヘス)

こういった思想書を読んでいる時、僕が行っている作業は、単に書いてあることを整理しているだけだということに気づいたので、「まとめ」とさせていただきます。 永遠の歴史 (ちくま学芸文庫) 作者:ホルヘ・ルイス ボルヘス 筑摩書房 Amazon なんたらoffで見…

【感想】SF小説 その⑥

時間系・並行世界系のSFでまとめました。 夏になると時を駆けたくなるね。 時間衝突(バリントン・J・ベイリー) 時空を超えた戦争を描いた話。世界観やストーリーラインはありがちですが、注目すべきは、一つの時間線上で二つの〈現在〉が衝突するという突…

【考察】ベンヤミンと『映像のポエジア』

最近は人文思想系の本もちょこちょこ読んでいます。 偶然、直近で読んだ二冊に関連性があったため、まとめておきたい。 概説 ベンヤミン・アンソロジー (河出文庫) 作者:ヴァルター・ベンヤミン 発売日: 2016/08/05 メディア: Kindle版 ベンヤミンの基本思想…

【感想】SF小説 その⑤

他ジャンルにかまけているので結局ペースあがらず。 世界の涯ての夏(つかいまこと) 前々から気になっていたし、夏が舞台の作品が読みたいと思ったので購入。”涯て”と呼ばれる異時空間が出現し、ゆっくりと世界が浸食されていくという話。ボリュームを抑え…

【感想】SF小説 その④

虚構に生きるオタク。 零式(海猫沢めろん) 古本屋で見かけて雑に買って雑に読もうと思っていたんですが、期待以上に面白くて引き込まれてしまった作品。ジャンルとしては歴史改変ディストピアもの、みたいな感じでしょうか。疾走感のある文体、凄絶なアク…

【感想】SF小説 その③

1冊読んでる間に数冊増える。 永久に抜け出せないSFの迷宮。 自生の夢(飛 浩隆) 「文字」や「音」をテーマとした短編集。濃度の高い文章に、想像力をグイグイ引きずり出されるような感じでした。個人的には『海の指』が一番良かったです。著者の本は初めて…

【感想】SF小説 その②

SFを買いすぎた男。 いつ消化できるか分からん。 宇宙の戦士(ロバート・A・ハインライン) 地球の安寧を脅かす異星体”クモども”。地球連邦軍に志願した主人公・ジョニーは、”強化防護服(パワード・スーツ)”を装着して戦う”機動歩兵隊”に配属され、クモど…

【感想】SF小説 その①

雑にSF小説買い集めたので、感想まとめていきます。古い作品中心です。 キャッチワールド(クリス・ボイス著) 西暦2015年。木星軌道上を周回する結晶生命体(クリスタロイド)が放った超高速ミサイルにより、地球の主要都市は壊滅。甚大な被害を被りながら…