【感想】G線上の魔王

 

るーすぼーいの作品といえば、これと車輪の国ですかね。

エロゲ界では結構有名です。

 

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真冬。

粉雪の舞う大都市に”魔王”が出没した。

望みは、無論、人間社会の崩壊である。

......少女は、正体不明の”魔王”をあぶりだすべく、

頭脳を駆使した心理戦をしかけていった。

......十年ぶりの再会――

いま、命をかけた純愛ドラマの幕が上がる――

 *パッケージ裏より引用

 

概要

裏社会を舞台とした復讐劇。ジャンルはクライムサスペンス?ミステリー?そんなところです。勇者と魔王の頭脳戦が魅力であり、緊迫感のある演出に自然と引き込まれます。本作でも、るーす特有の叙述トリックが随所に仕掛けられています。

 

シナリオ

攻略対象は4人。メインとなる勇者と魔王の復讐劇から枝分かれする形で、サブヒロインルートが展開します。サブヒロインを一人ずつ振っていけば、自ずとグランドエンドに辿り着きます。

 

美和 椿姫(みわ つばき)

主人公・浅井京介(あざい きょうすけ)のクラスメイト。純粋で人を疑うことを知らない。決して裕福ではないが、温かい家族に囲まれて育った普通の女の子。

感想

魔王の策略により家庭を破壊され、善良な心を失いかける椿姫。しかし、弟の純粋無垢な気持ちに触れ、我を取り戻します。揺るがなき信念で檻をぶち壊すタイプの物語、るーすの作品でよく見かけますが、とても好きです。京介が、身一つで若衆から椿姫の家を守ろうとするシーンは胸が熱くなりました。

 

浅井 花音(あざい かのん)

京介の義理の妹。浅井権三(京介の養父)の愛人の娘。実力あるフィギュアスケーターであり、世界へ羽ばたく素質を備えている。ブラコンなので、京介と一緒に居たがる。

感想

魔王の策略は登場しますが、核となる問題は別のところにあり。周囲から金を生む道具として見られていることに悩み、自分を見失う花音。長年寄り添ってきた母親も信じられず、情緒不安定になってしまいます。

いまいち響かない話でした。過剰な自信と強迫観念を捨て去り、どうしようもない母親を受け入れることが鍵だったということでしょうか。

 

白鳥 水羽(しらとり みずは)

京介のクラスメイト。独りでいることが多く、友人も少ない。京介を敵視しており、話しかけてもつっけんどんな態度を取る。

感想

魔王の策略により、立てこもり事件に巻き込まれる水羽。やっと再会を果たした義理の姉・時田ユキは、事件後に突如失踪してしまいます。姉を頼ってばかりだった水羽の成長物語なのですが、肝心の成長過程が見えないのが残念でした。また、姉妹の絆みたいなのも描いているのですが、この点に関しては、なぜかメインルートでのイベントの方が色濃く出ています。なので、水羽ルートはメインルートでのユキ・水羽イベントを合わせて初めて完成すると言えます。

恋人になると思い切り甘えてくるキャラ(車輪の国の灯花みたいなやつ)かと思いきや、全然甘えてくるシーンがない!!なんでや......そういうのあってもええやろ......。

珍しくバッドエンドが印象に残っているルートでもあります。

 

宇佐美 ハル(うさみ はる)

京介のクラスに転校してきた少女。本作のメインヒロインであり、自称”勇者”。顔全体が隠れるほどの長い黒髪が特徴。復讐のために”魔王”を追っている。”魔王”と渡り合う優れた頭脳を持っている。

感想

魔王の策略により、街に地獄がもたらされます。ハルが魔王を追う理由、ハルと京介の過去、魔王の正体など、次々に伏線が回収されていきます。このルートの魅力は、やはり頭脳戦でしょう。魔王の思惑を予想しながら読み進めていくのも楽しいかもしれません。

復讐が新たな復讐を呼ぶ。憎しみの連鎖を止めるため、自ら悪を被る京介、かっこよすぎませんか。ラストが救いなのか、それとも新たな連鎖への入口なのか、受け取り方次第ですね。

 

車輪の国と同じく、有葉さんの立ち絵です。ヒロインは可愛らしく、やわらかい印象があります。京介の友人である相沢栄一(あいざわ えいいち)のワル顔も面白いですし、浅井権三の立ち絵も迫力があって良いと思います。

背景は取り立てて特徴ないですが、普通に綺麗でした。

 

音楽

クラシックをアレンジしたBGMが多いです。聞いてると「ああ、あの曲か」となります。おしゃれで良いと思います。

 

その他雑感

  • 車輪の国と比べるとインパクトに欠けますが、意図的に主張を避けてサスペンス主体に仕上げているのではないかと思います。
  • 叙述トリックは小刻みなのと、大きいのがあります。しかし、あまり強くありません。(エンドロール後のアレは叙述トリックと呼べるのだろうか、騙されたけどね!)
  • 正直、サブヒロインはおまけ感がありました。あくまでもメインルートを見せたいのだなと。
  • ほとんどシリアスですが、たまに入るギャグがクスっと笑える感じで良い。

 

これで、るーす作品は制覇しました。

ん?そういえば太陽の子は......?