【感想】SF小説 その③

 

1冊読んでる間に数冊増える。

永久に抜け出せないSFの迷宮。

 

自生の夢(飛 浩隆)

自生の夢 (河出文庫)

「文字」や「音」をテーマとした短編集。濃度の高い文章に、想像力をグイグイ引きずり出されるような感じでした。個人的には『海の指』が一番良かったです。著者の本は初めてだったのですが、結構ハマりました。他の作品も読んでいこうと思います。

 

11 eleven(津原 泰水)

11 eleven (河出文庫)

幻想小説というやつ。洗練された綺麗な文章なんですが、すらすら読んでいくといつの間にか迷子になってしまうという不思議な感覚があります。女性の顔面が迫ってくる幻覚に囚われた男の物語『微笑面・改』が、印象に残っています。

 

からくりアンモラル(森 奈津子)

からくりアンモラル (ハヤカワ文庫JA)

SF要素を取り入れた官能小説集。SFマガジンの百合特集で見て購入したんですが、半年ぐらい放置してました。嫌悪感を催すようなハードプレイが登場しがちですが、その裏にある純粋な愛情には心惹かれるものがあります。一番良かったのは『いなくなった猫の話』。

 

サマー/タイム/トラベラー 全2巻(新城カズマ

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

夏なのでタイムトラベルものをな、と思い読みました。文体にクセがあり、かなり衒学的なところが目立ちますが、それも含めて青春を感じられる作品でした。物語のラスト、ヒロインの悠有が未来へ駆けていくシーンにはじわりと涙が……。僕も”此処ではない何処かへ”行きたいなぁ~~。

 

スカイ・クロラ(森 博嗣)

スカイ・クロラ (中公文庫)

戦闘機系SFですが、ハイスピードなアクションシーンはほとんどありません。終始平坦な印象で、大切なことは行間に込められている感じ。読み取る力が足りないので、腑に落ちていない点が多いです。記述の仕方といい、テーマといい、ゼロ年代が薫り立つ作品。

 

以上。