【感想】映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-

 

内容をまとめておきたいですが、まとまっていないかもしれない(ネタバレ有り)。

 

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あらすじ

「戀(アニメ版2期)」終了後、新学期を間近に控えた春休みの出来事を描いています。主人公である『富樫勇太(とがし ゆうた)』は、ヒロインの『小鳥遊六花(たかなし りっか)』と恋人関係になったものの、どこか釈然としない気持ちを抱えたまま日々を送っていました。そんなある日、六花の姉『十花(とうか)』がイタリアに行くことになり、六花も一緒に連れていくと言い出します。急な展開に戸惑う勇太と六花は、友人たちの助言を受け、十花の目を逃れて駆け落ちをすることを決めるが......という流れ。

 

六花の葛藤

本作で焦点を当てているのは六花の成長であり、変わることへの葛藤です。『中二病』は六花という人間の大部分を構成しているものであり、勇太との関係もそれを前提に成り立っていました。しかし、次第に六花の中で勇太への感情が膨らんでいき、それは彼女のアイデンティティである『中二病』を喰らってしまうほど巨大になっていました。指輪を渡されたことをきっかけとして、六花はそれに気づきます。勇太が好きと言ってくれた中二病である自分が、他でもない勇太への想いによって崩壊していく。だから、その想いに歯止めをかけなければならないが、止めてしまうと勇太との関係を深めることができないというジレンマに陥ってしまいます。

 

六花と智音の違い

2期より登場した『七宮 智音(しちみや さとね)』も同様の葛藤を抱いたことがあり、彼女は『中二病』である自分を選び、勇太への想いを捨てた経験があります。その経験からか、彼女は六花に「中二病であることをやめるべき」と提案しますが、つゆり先輩から「それは当人たちが決めるべきなのでは」と指摘されます。

智音と六花では、葛藤を経験するタイミングが異なります。智音の場合は勇太との関係以前であり、六花の場合は関係以後です。関係に至る前の段階で『中二病』が勇太への想いに浸食されることを経験した智音は、『中二病』と恋愛感情は相容れないものであり、『中二病』を捨てて恋愛感情を取らなければ、ちゃんとした恋愛関係は結べないということに気づいたんだと思います。一方、六花の場合も同様に勇太への想いが『中二病』を浸食してはいたんですが、勇太が『中二病』を受け入れてしまったことで、彼女はそれに気づかないまま『中二病』と恋愛感情が両立できるものだと錯覚し、葛藤を経験するのが遅れたのではないかと思います。

また、葛藤の中心も異なるのではないかと思います。智音は中二病である自分自身を失うのを恐れていて、六花は ”勇太が好きといってくれた” 中二病である自分を失うのを恐れています。智音の悩みの中心は『自分』であり、六花の悩みの中心は『勇太』なのではないかと思います。つゆり先輩はそこに気づいたため、中心が『勇太』である以上、二人で話し合うべきなんじゃない?と言ったんだと思います。

 

勇太の真意

勇太は『中二病』と恋愛感情が相容れないものであることも、六花がいつかそれに悩む時が来ることも分かっていたんだと思います。最終的に、悩んでいる六花に対して「どんな君でもオールOKだよ!」と言いますが、彼は六花を恋愛対象として受け入れた時点(1期終了時点)でそれを既に示していたんだと思います。しかし、六花にそれを本質的に理解してもらうためには言葉で説明しても駄目で、彼女が上記の葛藤を経験することが必要であることも分かっており、悩んだ上で気持ちを打ち明けてくれる機会を待っていたんだと思います。冒頭で勇太が釈然としない気持ちを抱えているように見えたのは、その機会がなかなか訪れず、六花が悩む兆候を見せなかったからだと思います。結果的に、二人がより絆を深めるために必要だったのは、六花が葛藤の末に『中二病』か恋愛感情のいずれかを選ぶことではなく、彼女が葛藤することそのものだったのかなと。

 

当初二人を繋いだのは確かに『中二病』でしたが、恋愛感情によっても繋がりができた今となっては不要になりかけているんだと思います。六花が選んだ道は、恋愛感情と引き換えに『中二病』を切り捨てるということではなく、「恋愛感情が『中二病』を自然に喰らいつくすまで待つ」ということであり、それまでは、その二つが両立しているかのように見える仮初めの関係が続いていくのでしょう。そして、それが終わると同時に二人の関係は真に恋愛関係と呼べるものへと移行するのだと思います。

 

最後になりましたが、六花ちゃん(CV. 内田真礼)かわいいですね。ありがとうございました。

 

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